chamomile tea

不眠は現代に生きる多くの人にとっての悩みです。

解決法として薬に頼ることもできますが、強力な睡眠薬は効果がある一方で、副作用や依存性の不安もあります。

そこで、薬ではなく安眠効果のある天然のハーブに注目する人が増えています。

ハーブの中には処方薬やアルコールなどと相互作用を起こすものもあり、必ずしも全てが安全というわけではありません。それぞれの特性と効能をしっかりと知った上で利用する必要があります。

この記事では、安眠効果がある、不眠症に効くとされているハーブについてご紹介します。これらのハーブの多くは日本でもお茶(ハーブティー)やサプリの原料として使われているものですが、国によっては薬草として医薬品扱いになるものもあります。実際に飲用する際は、他に常用している薬などがある場合は必ず事前に医師に確認するようにしてください。

バレリアン(Valerian)

バレリアン(ヴァレリアン)はヨーロッパを原産とするオミナエシ科の薬草です。日本名は「セイヨウカノコソウ」。
根や茎に不眠症改善の効果があるとされ、ドイツを中心にヨーロッパやアメリカで広く利用されています。伝統生薬製剤の欧州指令にもとづく医薬品に指定されています。

複数の研究をもとにした分析から、バレリアンに睡眠改善効果がある可能性が高いことが示されていますが、その仕組みについては現状まだ明確ではありません。
Valerian for Sleep: A Systematic Review and Meta-Analysis

一説ではバレリアンの成分が神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)を増加させることにより睡眠改善に繋がると考えられています。
Valerian — Health Professional Fact Sheet

副作用の報告もありますが、用法用量を守れば安全で継続的な効果が得られると言われています。
肝臓に不調がある人、妊娠中の人は、使用を避けたほうがいいとされます。

参考:セイヨウカノコソウ – Wikipedia

カモミール(Chamomile)

カモミールはヨーロッパを中心に4千年以上の昔から薬草として利用されていたと言われるキク科の植物です。
花にリンゴのような独特の強い香りがあり、乾燥させたものをハーブティーとして飲用します。
安眠・リラックス効果があるとされ、ヨーロッパでは伝統生薬製剤の欧州指令にもとづく医薬品として指定されています。

安全で広く利用されているハーブですが、キク科アレルギーがある方は使用できません。

いくつかの研究により、カモミールに含まれるアピゲニンという抗酸化物質が睡眠改善の効果をもたらしていると考えられています。
Chamomile: A herbal medicine of the past with bright future

60歳以上の高齢者60人を対象にした実験では、カモミールを摂取したグループが摂取しなかったグループと比較して睡眠の質が向上したという結果が出ています。
The effects of chamomile extract on sleep quality among elderly people: A clinical trial. – PubMed – NCBI

台湾の女性80人を対象にした実験では、カモミール茶を2週間飲み続けたグループはそうでないグループと比較して睡眠の質が改善されたという報告もあります。
Effects of an intervention with drinking chamomile tea on sleep quality and depression in sleep disturbed postnatal women: a randomized controlled … – PubMed – NCBI

参考:カモミール – Wikipedia

パッションフラワー(Passion flower/Passiflora)

日本名は「トケイソウ」。熱帯・亜熱帯地域原産の植物です。
多くの品種があり、トロピカルフルーツとして知られる「パッションフルーツ」は、クダモノトケイソウと呼ばれる種類の実です。

鎮痛作用や不眠の緩和に効果があるとされ、ヨーロッパでは伝統生薬製剤の欧州指令にもとづく医薬品に指定されています。

18~35歳の41人の被験者を対象にした実験で、パッションフラワーのお茶を一週間飲み続けたグループはそうでないグループと比較して睡眠の質が有意に向上したという報告があります。
A double-blind, placebo-controlled investigation of the effects of Passiflora incarnata (passionflower) herbal tea on subjective sleep quality. – PubMed – NCBI

参考:トケイソウ – Wikipedia

レモンバーム(Lemon Balm)

レモンバームは地中海沿岸原産のシソ科のハーブで、レモンのような香りがあることからこの名が付いています。
昔から様々な効果のあるハーブとして利用されてきました。乾燥させた葉をお茶にするほか、生のまま料理にも利用されます。

マウスを使った実験では、レモンバームの成分がGABAを増加させることで鎮静作用を生み出す可能性があることが報告されています。
Effects of Melissa officinalis L. (lemon balm) extract on neurogenesis associated with serum corticosterone and GABA in the mouse dentate gyrus. – PubMed – NCBI

また、軽度~中程度の睡眠障害を持つ被験者を対象にした実験では、レモンバーム抽出物を15日間飲み続けた場合、不眠症が42%減少したとの結果が出ています。
Pilot trial of Melissa officinalis L. leaf extract in the treatment of volunteers suffering from mild-to-moderate anxiety disorders and sleep disturbances

参考:レモンバーム – Wikipedia

アシュワガンダ(Ashwagandha)

By Hari Prasad Nadig from Bangalore, IndiaUploaded by Vinayaraj (Ashwagandha)
By Hari Prasad Nadig from Bangalore, IndiaUploaded by Vinayaraj (Ashwagandha) [CC BY-SA 2.0 ], via Wikimedia Commons

アシュワガンダ(学名:ウィザニア)はインドの伝統医学であるアーユルヴェーダで使われることで知られるナス科の常緑低木です。
アシュワガンダの根には鎮静作用があることがわかっており、誘眠効果も高いとされています。

日本では薬機法により医薬品に指定されているため、生産・販売には制限があります。

マウスを使った実験で、アシュワガンダの葉から抽出した成分を飲ませたマウスのノンレム睡眠(深い眠り)が増加したとの報告があります。
Triethylene glycol, an active component of Ashwagandha (Withania somnifera) leaves, is responsible for sleep induction. – PubMed – NCBI

アシュワガンダの成分はGABA受容体に作用することで睡眠効果を生み出している可能性が高いことが研究により指摘されています。
Direct evidence for GABAergic activity of Withania somnifera on mammalian ionotropic GABAA and GABAρ receptors. – PubMed – NCBI

参考:アシュワガンダ – Wikipedia

その他、睡眠に良いとされるハーブ

中国では漢方薬として昔からナツメ(棗)の実が睡眠効果があるとして利用されてきました。ナツメの実には睡眠誘導物質の一つと考えられているオレアミドが含まれていることが知られています。

沖縄では「眠り草(ニーブイグサ)」とも呼ばれるクワンソウ(和名はアキノワスレグサ)が、安眠効果のある植物として、伝統的にお茶や料理に使われてきました。

睡眠薬の副作用や依存性が心配な方は、安眠効果のある自然のハーブを試してみてはいかがでしょうか。

ハーブティー用に売られているものもありますが、サプリメントとして成分を摂取しやすくしたものも販売されています。

参考にしていただければ幸いです。

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