クワンソウ

ここ最近、睡眠サプリなどの成分として、よくその名を見かけるようになった「クワンソウ」という植物があります。

「クワンソウ」とは沖縄で伝統的に食されている野菜の一種で、別名は「ニーブイグサ(沖縄方言で”眠り草”の意味)」。「安眠効果がある」として昔から広く利用されていたそうですが、沖縄以外の地域では最近までほとんど知られていませんでした。

それが近年、睡眠への興味・関心が高まる中で、「クワンソウ」の存在に光が当たり、一躍注目を集めることになったのです。

一体クワンソウとはどんな植物なのか? 本当に安眠効果があるのか? 詳しく見ていきましょう。

クワンソウとはどんな植物?

クワンソウは九州南部から南西諸島に自生するユリ科ワスレグサ属の植物で、和名は「アキノワスレグサ」。

ワスレグサはカンゾウ(萱草)とも呼ばれ、クワンソウという呼び名も「カンゾウ」の沖縄読みに由来します。

ワスレグサ(忘れ草)の名の由来は、花がたった1日しか咲かないことから。英語では「Daylily(一日ユリ)」といいます。

沖縄では昔から不眠症を治す効果があるとして知られ、花は天ぷらにしたり吸い物に入れたり、茎は和えものや刻んで炒めものに、葉は固いので乾燥させてお茶にするなど、様々なかたちで食生活に取り入れられてきました。

古くは1832年に書かれた沖縄の食療書「御膳本草」(渡嘉敷親雲上通寛)にもクワンソウについての記述があります。

また、沖縄県農林水産部が「戦前から食される」「郷土料理に利用される」「沖縄の気候や風土に合っている」の3つの定義に基づいて指定した「おきなわ伝統野菜(島野菜)28品目」にも選ばれています。

参考:
アキノワスレグサの睡眠改善作用について
御膳本草(ぎょぜんほんぞう)|うちなー美味(まーさん)肉紀行
今帰仁ざまみファーム・今帰仁クワンソウ | 今帰仁ざまみファーム
きょう「島ヤサイの日」 JA市場 シマナーなど28品PR – 琉球新報 – 沖縄の新聞、地域のニュース

クワンソウが「不眠症に効く」のは本当?

伝統的に「不眠症を治す」と言われてきたクワンソウですが、実際の効果はどのようなものなのでしょうか?

実は大学や研究施設でも検証が行われています。

鎮静作用と深い眠りを増やす効果が判明

1998年に発表されたマウスを使った実験によると、クワンソウの花の乾燥粉末を餌として食べさせたマウスは、食べさせていないグループと比較して徐波睡眠(深い眠り)とレム睡眠の割合が増加したとの結果が出ています。

覚醒・徐波睡眠・逆説睡眠(レム睡眠)それぞれの、暗期と明期における割合を比較。暗期での徐波睡眠と逆説睡眠が有意に増加したという研究結果。
出典:Effects of Hemerocallis on sleep in mice. – PubMed – NCBI(1998年/琉球大学 上江洲榮子教授)

2008年の研究では、クワンソウの根から抽出したエキスを与えたマウスの運動量が減少したことから、クワンソウに鎮静効果(リラックス効果)がある可能性が示されました。

天然物に含まれる睡眠作用物質の探索‐アキノワスレグサの鎮静効果‐(2008年/日本薬学会)

2010年に発表された南方資源利用技術研究会による研究では、クワンソウの葉から抽出したエキスを使った実験が行われています。

実験によると、クワンソウのエキスを摂取した場合、休息に入った直後に鎮静効果があらわれることと、長時間にわたって質の高い眠りが得られることがわかりました。また、摂取した量によって睡眠量が増えるといった作用は無いことも確認されました。

[総説]沖縄伝統野菜クワンソウの睡眠改善・抗うつ様効果の証明とその可能性: 沖縄地域学リポジトリ(2010年/南方資源利用技術研究会)

クワンソウに含まれる睡眠調節物質「オキシピナタニン」

同志社女子大学と沖縄の健康食品メーカー「クレイ沖縄」ほかによる共同研究では、クワンソウに多量に含まれているアミノ酸の一種「オキシピナタニン」という成分に着目。抽出したオキシピナタニンをマウスに与えたところ、ノンレム睡眠(深い眠り)が大きく増加するということが明らかになりました。

この研究により、オキシピナタニンが安眠を助ける仕組みは、血管の拡張作用による熱放出を助けることによって体温を安眠しやすい状態にすることである可能性が示唆されています。

また、一部の睡眠薬に見られるような副作用や依存性が無いことも証明されました。

2013年には、オキシピナタニンの安定抽出に成功したクレイ沖縄と同志社女子大学により「睡眠改善剤」として特許も取得されています。

参考:オキシピナタニン – 同志社女子大学 news1310.pdf(株式会社クレイ沖縄、同志社女子大学、琉球大学、大阪バイオサイエンス研究所、による共同研究/プレスリリース)
クワンソウ-オキシピナタリンで快眠生活!! | クレイ沖縄
22590025 睡眠調節物質オキシピナタニンの作用メカニズムの解明(科研費)

安全で睡眠の質を改善! さらに健康にも嬉しい効果が

以上のことから、クワンソウの効果は、ただ単に「眠らせる」というものではなく、「深い眠りを増やし睡眠の質を上げる」というものであることがわかります。

睡眠時間を長くするような作用はないため、飲みすぎることにより目覚めや生活に支障が出ることもありません。

副作用の心配もないので安心して利用でき、体温調節を助けることで自然な入眠効果が得られるということがわかりました。

やはり伝統の知恵は本当だったのですね。

さらに別の研究では、クワンソウには抗酸化活性を示すポリフェノール類やカロテノイド類が高濃度で含有されていることが明らかになっています。クワンソウは健康にも良いのです。

アキノワスレグサの睡眠改善作用について(2010年/琉球大学 上江洲榮子教授)

抗酸化活性とは、酸素が呼吸の過程で変質することで作られる身体に悪い物質「活性酸素」を除去してくれる働きのこと。成人病の予防やアンチエイジングに効果的であるとされます。
参考:抗酸化による老化防止の効果 | 健康長寿ネット

クワンソウはどこで手に入る?

クワンソウは温かい地域の植物なので、沖縄ではそのまま野菜として料理などにも使われますが、その他の地域では生の状態で手に入れるのは簡単ではありません。
また、沖縄でも市街地のスーパーなどで気軽に買えるというわけではないようです(道の駅など地域に特化したお店ではたまに売っていることも)。

そのため、沖縄以外に住んでいる人でクワンソウを試してみたいという方は、サプリやお茶として販売されているものを利用するのがおすすめです。

沖縄ではクワンソウの花をピクルスにした瓶詰めなども売られています。旅行に行った際は是非探してみてください。

また、クワンソウの栽培が盛んな今帰仁村の「ざまみファーム」では、クワンソウ畑での花摘み体験ができるので、興味がある人は観光ついでに行ってみると楽しいと思います。

今帰仁のクワンソウ農園|クワンソウの眠り草本舗(ねむりぐさほんぽ) / 今帰仁ざまみファーム

クワンソウ茶とサプリ、どちらがより効果がある?

クワンソウ茶(amazon.co.jp)

クワンソウに含まれる睡眠改善効果のある成分は、生の根、茎、葉、花の各部位に含まれていることがわかっています。

中でも特に安眠効果が高いとされているのが「」と「」。

昔から沖縄ではクワンソウの葉と茎は豚肉などと一緒に煮込んで食べられることが多かったそうで、煮込んだ汁の中にも安眠効果のあるオキシピナタニンが含まれることが確認されています。

なので、葉と茎を煎じてお茶にして飲んでも効果あり!
乾燥させたものを細かく刻んでティーパックにしてあるものや、粉末にして直接お湯に混ぜて飲むものなど、様々なかたちで商品化されていますが、効果には大きな差はないと考えられます。

クワンソウの効果は多量にとればとるほど高まる、といったものではないことが研究によっても確認されています。つまりそれは飲み過ぎることで副作用が出るといった心配が無いということでもあります。

お茶と言ってもカフェインは含まれないので、妊娠中の方や子供でも安心です。

ただし、葉と茎だけをお茶にしたものは、どうしても「」っぽい独特の香りがあります。ちょっとクセのある麦茶みたいな感じですが、人によって好き嫌いがあるかも。そのため、より飲みやすくするために香りの良いハーブなどとブレンドしたものも販売されています。

クワンソウのサプリ(amazon.co.jp)

一方サプリの場合は、クワンソウから抽出したエキスを使ったものが主流になります。
クワンソウそのものを飲みやすい錠剤にしたものもありますが、あくまで少数派。多くはクワンソウ以外にも快眠に効果があるとされる複数の成分をミックスしたものになっています。

サプリの場合は錠剤やソフトカプセルなので、味や匂いも気にする必要なし。お茶以上に効率よく有効成分を摂取することができますが、商品によってはクワンソウ以外の成分も含まれる点に注意しましょう。

まとめると、お茶もサプリもどちらも効果あり! ただし

・お茶の場合は香りに好き嫌いがあるかも。
・サプリの場合はクワンソウ以外の成分も入っていることが多い。

以上の2点を押さえておきましょう。

クワンソウオンリーじゃなきゃ嫌だ! という人やサプリに抵抗がある人はお茶、とにかく安眠効果を追求したい! という人はサプリがおすすめです。

クワンソウの名産地、沖縄県北部の今帰仁村で手摘みされたクワンソウをそのまま生茶葉にしたもの。

クワンソウをそのまま錠剤にしたサプリがこちら。



クワンソウ以外の成分も入った快眠サプリでは、こちらの「リラクミン」が人気です。

クワンソウの食べ方は?

沖縄で生のクワンソウを手に入れることができた場合は、実際に食べてみましょう。

野菜として料理に使われるのは主に「」と「」。葉は硬いので加工してお茶やサプリの原料として使われます。

花も茎も、基本的に加熱調理して食べるものになります。どちらもシャキシャキした独特の食感が特徴ですが、生で食べるとお腹がゆるくなることがあるので要注意。

特に安眠効果が高いとされる茎は、束になった部分をバラして使います。サラダや和えものにする場合は、軽く湯通しする程度で大丈夫。煮ものや炒めものの具材にする場合は、生のまま入れて火を通せばOKです。

花は葉や茎に比べると睡眠改善の効果は弱いとされていますが、純粋に食べ物としてとても美味しいです。
花粉を落としてから軽く湯通しして、ポン酢などをかけていただきます。

ちなみに、クワンソウの「つぼみ」も食べることができますが、こちらはしっかり火を通す必要があります。花が開く直前の黄色いつぼみは特に貴重なため、高級食材とされているそう。

クワンソウ農園に行った時や、お店で見かけることがあれば、是非買って試してみてください。