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安眠のためには「静か」であることは重要な条件のひとつです。

せっかくゆっくり寝ていたのに「騒音」や「雑音」によって起こされるのはたまったものではありません。

外から聞こえる車の音や話し声…。アパートやマンションに住んでいる人なら、上の階の足音や、隣の部屋の音に悩まされた経験がある人も多いのではないでしょうか。

早く眠りたいのに近所がうるさくて寝付けない、なんてこともありますよね。

そんな、騒音や雑音で眠れない問題を解決してくれる可能性があるのが「ホワイトノイズ」です。

「ノイズって……騒音のことじゃないの?」

はい、正解です。しかし、ホワイトノイズはただの騒音ではありません。「安眠を助けてくれる騒音」なのです。

一体どんな音なのでしょうか?

ホワイトノイズとは

ホワイトノイズ(White noise)とは、音響工学などで使われる用語で、「すべての周波数で同じ強度となるノイズ (出典:ホワイトノイズ – Wikipedia) 」のことです。

周波数というのは「音」を作り出している振動(音の波)を数値で表したもので、周波数が上がると「高い」音に、下がると「低い」音に聞こえます。
わかりやすく言うと、ホワイトノイズは、人間の耳で聞こえる音の範囲の上から下まで、常にノイズが埋め尽くしている状態といえます。

ホワイトノイズのイメージ
ホワイトノイズのイメージ

それが実際にどんな音になるかというと、よく例に出されるのがアナログテレビやラジオの「砂嵐」の音。「サーーーーーーッ」という音が途切れなく続く感じです。

決して「いい音」というイメージではありませんよね。「ノイズ」と呼ばれているのだから当然です。

ではなぜ、そんな音が「安眠を助ける」のでしょうか?

なぜホワイトノイズが安眠を助けるのか

ホワイトノイズを聴きながら寝ると、安眠効果があると言われている理由はいくつかあります。

外からの騒音をシャットアウトしてくれる

世の中に存在するあらゆる「音」は、周波数で表すことができます。先ほど説明したとおり、ホワイトノイズはすべての周波数の範囲で均等に鳴っているノイズです。

そのため、ホワイトノイズが鳴っていると、それ以外のあらゆる音がかき消されて聞こえにくくなるという効果が生まれます。これは「聴覚マスキング」と呼ばれる現象によるものです。

音量や音圧で無理やり聞こえなくするわけではないので、特別大きな音である必要はありません。

参考:Effect of White Noise on Sleep in Patients Admitted to a Coronary Care(Farokhnezhad Afshar P, Bahramnezhad F, Asgari P, Shiri M. Effect of white noise on sleep in patients admitted to a coronary care. J Caring Sci 2016; 5 (2): 103-9. doi: 10.15171/jcs.2016.011.)

この効果を利用して、寝るときにホワイトノイズを流しておくことで、眠りをさまたげる外からの様々な騒音・雑音をシャットアウトすることができるのです。

聴覚のマスキングについて詳しく知りたい方は、以下のサイトをご覧ください。マスキングの効果は、安眠対策以外にも様々な分野で活用されています。
音の仮面 | 社団法人 日本音響学会 — The Acoustical Society of Japan —

決まったパターンがないため気にならない

歌詞がある歌や、決まったメロディーの繰り返しがある場合、人間の脳は無意識のうちにそれを聞き取って、意味を考えたり記憶したりしてしまいます。それは頭を使うことになるため、眠りを妨げる要因になることがあります。

ホワイトノイズは何の意味もなくただ単調に鳴り続けているだけの音なので、全く頭を使う必要がなく、リラックスして眠りへと入っていくことができます。

赤ちゃんが胎内で聞いている音に似ている

ホワイトノイズは、生まれてくる前の赤ん坊が母の子宮にいる時に聞いていた音に似ていると言われています。

そのため、寝る時に流しておくと安心感を覚えて眠りやすくなるのです。

ランダムに選ばれた生後2~7日の新生児20人ずつの2組のグループを比較した実験で、ホワイトノイズを聞かせたグループのうち16人(80%)が5分以内に眠ったのに対し、聞かせなかったグループでは5人(25%)しか眠らなかったという研究結果もあります。

出典:White noise and sleep induction.(J A Spencer, D J Moran, A Lee and D Talbert / 1990)

波音、雨音などもホワイトノイズと同じ効果がある

浜に押し寄せる静かな波

外部の騒音をシャットアウトする効果と、胎内のような安心感を与える効果によって、安眠を助けてくれるホワイトノイズ。

厳密な意味で本物のホワイトノイズは、正確に作り出すためには工学的な技術が必要ですが、ホワイトノイズと同じ効果を得ることができる音は他にもあります。

重要なポイントは「広い範囲の周波数が含まれていること」と、平坦な(音の途切れや音量の上がり下がりの少ない)持続音であること。

その条件を満たす音として、波の音や雨音、川のせせらぎなどの自然音が挙げられます。また、エアコンなど送風機のファンの音や乗り物のエンジン音などの機械音、群衆のざわめきなどの環境音も、効果が高いと言われています。

最近ではこのような、広い周波数で鳴っており騒音シャットアウト効果のある音を総称して「ホワイトノイズ」と呼ぶことも増えています。

本物のホワイトノイズには、人によっては耳障りと感じる高周波の音も含まれているため、自然音や環境音のほうがより快適に眠れるという人も多いでしょう。

また、高い周波数になるほど強度が弱くなる「ピンクノイズ」も、ホワイトノイズと同様に安眠効果があると言われています。ピンクノイズはホワイトノイズより低音が強調された「ザーーーーッ」という滝のような音になります。

ピンクノイズのイメージ
ピンクノイズのイメージ

聴覚のマスキング現象では低い音ほど高い音を妨害しやすいという特徴があるため、ピンクノイズも様々な外部の騒音をシャットアウトするのに適しています。

寝る時にホワイトノイズを流す方法

ホワイトノイズが安眠を助けることは20年以上前から研究が行われており、専用の装置なども開発されています。手軽に寝る時にホワイトノイズを流しておくための方法としては、次のようなものがあります。

YouTube(動画サイト)

もっとも手軽にホワイトノイズを試せるのが、YouTubeなどの動画サイトにアップされている長時間のホワイトノイズ動画です。

難点としては、あまりにも数が多いため、どの動画を選べば良いのか迷ってしまうこと。

おすすめはYouTubeの認証アカウントである「Relaxing White Noise」というチャンネル。自然音を中心とした様々なホワイトノイズがそれぞれ10時間ずつ(!)の長時間動画で公開されています。日替わりで選ぶのも楽しそう。

スマートフォンアプリ

iPhoneやAndroidのアプリでも、様々なホワイトノイズのアプリが公開されています。こちらもクオリティーはさまざまですが、無料のものも多いのでいろいろ試してみるとよいでしょう。

おすすめは「Pzizz」というアプリ。英語版ですが、世界中で使われている定番の快眠サウンドアプリです。

Pzizz

もうひとつ、その名も「White Noise」というアプリもおすすめ。

White Noise

無料版の「White Noise Lite」もあります。

デジタル音源サイト

インターネットのページ上で自然音やホワイトノイズを再生できるウェブサイトもあります。

おすすめはシンプルでわかりやすい「Noisli」。聴きたい音のアイコンを選んで押すだけ。複数の音をミックスすることも可能です。

Noisli キャプチャ画像
captured from www.noisli.com

Facebookアカウントでの登録制ですが「Calm」も良い音が多いです。本来は瞑想向けのサイト。

Calm キャプチャ画像
captured from www.calm.com

また、Soundcloudのような音楽SNSで公開されている音源もあります。アプリの欄で紹介したPzizzのSoundcloudページもあります。

専用のホワイトノイズマシン

ホワイトノイズの効果が広く知られているアメリカでは、ホワイトノイズを生成する専用の機械も多数発売されています。最近は日本での取扱いも増えてきており、通販サイトなどで購入することができます。

ホワイトノイズマシンのメリットとしては、パソコンをつけっぱなしにしておいたりスマホの通信量や充電を気にする必要がないことに加え、ホワイトノイズ専用に作られているだけあって、音質に優れたものが多いことが挙げられます。
多くは旅行先などにも持っていけるほどコンパクトで、値段も3,000~10,000円程度で買うことができます。

おすすめはアメリカのmarpac(マーパック)社の日本向け製品「sleepme(スリープ・ミー)」。本体の中にあるプロペラが回ることで空気の流れを作り出し音が出る仕組みになっているので、デジタルではない、より耳にやさしい自然なホワイトノイズを作り出すことができます。

アメリカ本国では「DOHM」という名前で販売されているものが同じ仕組みなので、実際の音は以下の動画を参考にご覧ください。

marpacは1962年から快眠用のサウンドマシンを開発・販売しており、世界各国に販売窓口を持つ信頼できる快眠グッズメーカーです。

旅行や出張が多い人には、よりコンパクトなLectroFan micro(レクトロファン・マイクロ)がおすすめ。手のひらサイズですが高性能で高音質。独自のテクノロジーによって、リピート式ではない本物のホワイトノイズを作り出すほか、波の音、ファン(送風機)の音数種が選べるようになっています。

LectroFanもアメリカでホワイトノイズマシンと言えば真っ先に名前が上がる定番商品。実際は「マイクロ」の付かないもっと大きなタイプもあるのですが、日本国内向けに正規販売されているのが今のところマイクロのみなので、こちらをご紹介しました。

お値段重視ならAVANTEK(アヴァンテック)のホワイトノイズマシン。6種のホワイトノイズ、6種のファン音、水音や風音、雨、鳥の声など8種の環境音を流すことができます。

まとめ

以上、安眠を助けるホワイトノイズについてご紹介しました。

騒音で眠れずに困っているけど、耳栓や薬は使いたくないという人は、是非一度ホワイトノイズを試してみてはいかがでしょうか。